提供:国土交通省中部地方整備局
非常に強い台風15号は、平成23年9月21日に静岡県浜松市付近に上陸しました。強い勢力を保ったまま東海地方から関東・東北地方に進み、西日本から北日本にかけて広い範囲で暴風や記録的な大雨となりました。
9月13日に発生した台風15号は、南大東島の西海上をゆっくり反時計回りに円を描くように動いた後、最大風速が50m/sの非常に強い台風となり、速度を速めつつ紀伊半島に接近した後、9月21日14時頃に静岡県浜松市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま東海地方から関東地方、そして東北地方を北東に進みました。首都圏では帰宅時間に台風接近となったため、交通機関が一時運転を見合わせたことから多数の帰宅困難者が発生しました。
東海地方ではこの台風の接近に伴い、秋雨前線の動きが活発化し、9月20日午後を中心に東海豪雨時(H12.9月)と類似した気圧配置パターンとなり、鈴鹿山脈や伊吹・関ヶ原方面から流れ込む北西の風と台風の暖湿流がぶつかりあって、名古屋市内から岐阜・東濃にかけてライン状の非常に発達した雨雲が発生・停滞したため、局地的な豪雨となりました。
総降水量は三重県大台町宮川で794.0mm、静岡県静岡市梅ヶ島で729.5mm、静岡県富士宮市白糸で599.0mm、静岡県伊豆市天城山で543.0mm、岐阜県多治見市多治見で504mm、愛知県豊根村茶臼山で473.0mm、静岡県浜松市越木平で455.00mmを記録し、愛知県の庄内川や豊川では浸水被害が発生しました。
●台風経路図
気象庁 |
愛知県名古屋市守山区下志段味地区 庄内川左岸31.6km付近 9月20日 |
●解析雨量による総降水量分布図(推定)
気象庁 |
●東海豪雨時と類似した気圧配置パターン
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愛知県の庄内川上流部にある多治見雨量観測所(国交省)では、9月20日12時に1時間最大雨量64mmを記録し、累加雨量は477mmとなり、東海豪雨時の367mmを上回りました。これにより、庄内川中流部の志段味水位観測所では、東海豪雨時を約0.6m上回る水位6.87mを記録しました。庄内川下志段味地区では庄内川左岸の堤防からの越水及び支川・長戸川(名古屋市管理)からの越水等により、約27haの浸水被害(床上浸水19戸、床下浸水55戸)が発生しました(名古屋市調べ)。
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愛知県名古屋市守山区下志段味地区 浸水の状況 |
●志段味水位観測所の水位グラフ
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●時間雨量及び累加雨量グラフ
多治見雨量観測所(国土交通省) |
愛知県の豊川流域では、布里雨量観測所(国交省)において、9月21日10時に1時間最大雨量41mmを記録し、累加雨量は382mmに達しました。このため、石田水位観測所では戦後2番目となる水位7.61mを記録しました。
豊川では左岸に4箇所(牛川・下条・賀茂・金沢)の霞堤があり、洪水が霞堤地区内に進入し、浸水被害が発生しました。
豊橋市牛川地区 |
豊橋市・豊川市賀茂地区 |
●石田水位観測所の水位グラフ
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●時間雨量及び累加雨量グラフ
布里雨量観測所(国土交通省) |
提供:国土交通省中部地方整備局 |